そもそも国家資格って?

民間資格の公的資格?

 資格には、国家資格だけでなく民間資格があり、公的資格というのは比較的認知度の高い資格や、一般的に国家資格に近いものといわれていますが、国による認定制度があるわけではありません。認定制度があるわけではありませんが、民間資格の取得により、国家資格の受験資格が得られるような資格は、公的資格を名乗らなくても、権威ある民間資格といえます。2006年にすでに廃止されましたが、以前は文部科学省などが「民間技能審査事業認定制度による資格」を認定していました。現在公的資格と呼ばれるものの多くは、かつては公的資格だった民間資格のことです。
 例えば、日商簿記検定、実用英語技能検定などがその代表格です。日商簿記検定は特典があり、1級合格者は、税理士試験の受験資格が得られます。国家試験の受験資格が得られる資格ですから、現在も公的資格として扱って構わない、人気のある資格です。実用英語技能検定は英検のことです。英検は、かつては文部省認定の技能検定でした。現在も企業の求人で、「英検○級以上」という応募資格が設けられている場合があります。
 そのほかにも、厚生労働大臣による認定制度だった手話通訳士やCADトレース技能審査、農林水産大臣による認定制度だった樹木医などなど、さまざまな資格が公的資格として人気を集めていました。
 公的資格の中には、国家資格よりも権威のある資格、知名度のある資格はたくさんあります。ただ、全く認知度のない民間資格が、公的資格を名乗った場合に違法になるわけではありませんから、資格商法では「公的な権威のある資格」であるかのように装った詐欺が含まれる場合があります。
 日商簿記検定を主催する、日本商工会議所および各地商工会議所は、公益経済団体です。商工会議所は経済産業省管轄の、法律的根拠のある特別民間法人ですから、公的な資格を名乗ってもまったくおかしくはありません。
 その一方で英検を実施している日本英語検定協会は一般財団法人です。検定を事業として行い、収益を上げている団体ですから、受験者数も多く有名な資格ですが、日本英語検定協会は英検を公的資格だというような宣伝は行っていません。だからといって、公的資格であるというような、権威そのものが失われてはいないのです。
 資格を認定する団体が、どんな性格の団体で、知名度のあるものなのかが、公的資格かどうかの基準とも言えます。聞いたこともない民間資格が、公的資格を名乗っていたらちょっと怪しい場合もあるのです。