そもそも国家資格って?

その他の国家資格

 ジャンル分けが難しい国家資格、ファイナンシャル・プランニング技能士や、獣医師、貸金業務取扱主任者などを紹介します。そしてジャンルが多くて分けるのが難しい技能士に、どんなジャンルがあるのかも紹介していきます。かっこ内は、その国家資格の根拠となる法律です。

●ファイナンシャル・プランニング技能士(職業能力開発促進法)
 厚生労働省が認定する、技能検定のひとつですで、CFPとAFPは民間資格です。ファイナンシャル・プランニング技能士2級の受験資格は、2年以上の実務経験、ファイナンシャル・プランニング技能士3級、もしくはAFP認定研修を受けることで受験資格を得られます。ファイナンシャル・プランニング技能士3級は、独学でも十分合格が可能で、合格率は8割りほど。受験資格はとくにありません。そのため、3級はほとんど就職や昇給には影響しない事が多く、銀行や保険会社などに勤務していない人がFPを目指す場合は、民間のAFP認定研修を受けて、2級から受験する人が多くなっています。また、CFP資格を持っている人は、1級の学科試験が免除されます。ファイナンシャルプランナーは業務独占資格ではありませんから、ファイナンシャルプランナーを名乗る人は、CFPとAFPを持っている人や、技能士の資格も持っている人、技能士の資格しか取っていない人など、さまざまで、特に資格がなくても独立は可能です。

●一級水先人(水先法)
 水先人とは、いわゆる、水先案内人の事です。船舶が安全かつ、合理的に走行出来るように導く仕事です。総トン数3,000トン以上の船舶で、2年以上の船長経験が必要ですが、一級水先人になると、どんな大きな船でも動かせるようになります。業務経験がなければ受験資格も得られないため、長い実務経験が必要で、20代で取得するのは難しい資格でもあります。

●貸金業務取扱主任者(貸金業法)
 2009年に、民間資格から国家資格になった、まだ歴史の浅い国家資格です。グレーゾーン金利の撤廃や、しつこい取り立てや死亡保険金での弁済を禁止した、貸金業法の改正とともに、国家資格を持つ取扱主任者が、設置義務化されました。消費者金融、質屋、クレジットカード会社など、幅広い企業で必要とされる資格です。もともと民間資格だった時代に、この資格を有していた人も国家資格を取らなければ主任者登録ができなかったため、国家資格への移行後、当初の合格率は7割、もともと主任者だった人の受験がなくなった現在の合格率は20%程度です。

●労働衛生コンサルタント(労働安全衛生法)
労働者の安全衛生のための指導を行う仕事で、主に、産業医を目指す人などが目指す資格のひとつです。コンサルタント業務として独立するのは今のところ難しくなっていています。実務経験か、医師免許や薬剤師、一級建築士などの国家試験に受かった人でなければ受験資格はないのですが、合格率は30%程度で、この資格を持っている人は日本では少なく、かなりレアな資格になっています。

●獣医師(獣医師法)
 ペットのための動物病院を想像しがちですが、いわゆる小動物臨床獣医師は獣医師全体の半分以下です。畜産農家などに往診する産業動物臨床獣医師、動物園などで働く臨床獣医師などの仕事もあります。獣医師国家試験を受けるには、獣医学系大学を卒業しなければいけませんが、合格率は80%前後と高めです。

●海事代理士(海事代理士法)
 船舶の登記や登録など、行政機関への申請や届出の手続きを代行するのが主な仕事です。司法書士、行政書士、社会保険労務士などの仕事の中で、船舶に特化した仕事といったところです。海事代理士試験の合格率は40%程度で、ジャンルが特化している分、司法書士などに比較して合格率は高くなっています。

●技術士(技術士法)
 技術士とは、高い能力を持った専門的な知識を持った、技術コンサルタントです。技術士法では、「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」を行うものとされています。技術士試験は、第一次試験があり、技術士補として登録することができます。第二次試験は、この技術士補の有資格者であり、実務経験のある人しか資格試験を受けることはできません。合格率はジャンルや年度によってもばらつきはありますが、10%〜20%程度です。技術士国家資格の部門は、以下の通りです。

  • 機械部門
  • 船舶・海洋部門
  • 航空・宇宙部門 電気電子部門
  • 化学部門
  • 繊維部門
  • 金属部門
  • 資源工学部門
  • 建設部門
  • 上下水道部門
  • 衛生工学部門
  • 農業部門
  • 森林部門
  • 水産部門
  • 経営工学部門
  • 情報工学部門
  • 応用理学部門
  • 生物工学部門
  • 環境部門
  • 原子力・放射線部門
  • 総合技術監理部門