不動産に関する国家資格
不動産に関する国家資格を紹介します。不動産は、財産そのものですから、それを扱う資格は難易度の高い物が多くなっています。そして不動産に関する資格は、民法の知識が必要不可欠になっています。かっこ内は、その国家資格の根拠となる法律です。
●宅地建物取引主任者(宅地建物取引業法)
不動産取引を仲介する業者に、定められた人数の必置義務がある資格です。不動産業者の事務所や、モデルルームなどで賃貸契約や売買契約の際に、契約についての重要事項を説明したり、契約を交わしたりする際には、宅地建物取引主任者の有資格者が行わなければいけない事になっています。宅地建物取引主任者国家試験は特に受験資格もなく、日本でもっとも受験者数の多い国家試験になっています。独学で学んでも受かると言われていますが、合格率は15%程度で、そう甘くはありません。
●土地家屋調査士(土地家屋調査士法)
土地家屋調査士は、登記の専門家で、土地や建物の調査や測量、登記に関わる申請手続の代理などを行います。土地家屋調査士法では、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施、国民の権利の明確化に寄与することを目的としています。土地家屋調査士になるには、土地家屋調査士試験事務に10年以上従事した人です。また、土地家屋調査士試験は、筆記試験と口述試験で行われますが、一級建築士、二級建築士、測量士、測量士補は、筆記試験は免除されます。また、筆記試験に合格できない場合は、口述試験を受けることができません。合格率は6%程度で、かなりの難関試験になっています。
●マンション管理士(マンションの管理の適正化の推進に関する法律)
マンション管理士とは、マンション管理組合のコンサルタント業を行う仕事で、マンションの管理人とは別物です。現在はあまり重要視されてはいない資格ですが、管理組合の立場、つまりマンションに住む住民側の立場でのコンサルタントを行います。管理組合の信頼を得る事ができれば、独立も可能な資格になっています。ちなみに事務管理業務を外部委託しているマンションなどでは、管理業務主任者が必要になります。マンション管理士試験の合格率は7%前後と低く、難関試験のひとつに数えられています。
●管理業務主任者(マンションの管理の適正化の推進に関する法律)
マンション管理のマネジメント業務を行う仕事で、マンション管理事業者は、管理するマンション管理組合30につき、ひとりの管理業務主任者を設置する義務があります。管理業務主任者の資格を持っていれば独立できるケースというのは少なく、管理業者や不動産業者にすでにお勤めの人はスキルアップのために受験する事が多い資格です。管理業務主任者試験の合格率は20%前後と、不動産関係の国家試験の中では比較的取得しやすい部類に入ります。
●不動産鑑定士(不動産の鑑定評価に関する法律)
不動産鑑定士の仕事は、文字通り土地・建物など、不動産の「価値」を鑑定する仕事です。例えば公共事業のために用地買収を行う場合など、その土地に金額を付けられる職業は不動産鑑定士のみです。国や地方自治体などの仕事が多いため、さほど知名度が高くはありません。不動産鑑定士試験の合格率は、短答式で2割、論文式で1割程度ですが、試験に合格したあとは、国が指定する実務修習機関で1年以上学び、実務修習修了考査に受かる必要があります。司法書士なみに難関とされますが、独学で合格するのはほぼ不可能といわれています。